漢方薬を調剤をしていると長期にわたり漢方薬を服用している患者さんを目にすることがあります。
一般の方は漢方薬には副作用が少ない、長期で服用しても大丈夫だろうと誤解されている患者さんもいると思います。
では今回は漢方薬の長期服用のリスクについて考えてみましょう。
2013年8月に黄連解毒湯・加味逍遥散・辛夷清肺湯の添付文章の重大な副作用に「腸管静脈硬化症」が追加されました。
この腸管静脈硬化症の原因は不明とされていました。
しかし、近年では漢方薬の長期服用、特に山梔子(サンシシ)を含むものの長期服用が原因との疑いが発生しました。
作用機序はまだはっきりしていませんが、山梔子に含まれるゲポニシドが原因ではないかと推定されているようです。
山梔子を含む漢方は、
茵蔯蒿湯(いんちんこうとう)
温清飲(うんせいいん)
黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
加味帰脾湯(かみきひとう)
加味逍遥散(かみしょうようさん)
荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)
五淋散 (ごりんさん)
柴胡清肝湯(さいこせいはいとう)
辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)
清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)
清肺湯(せいはいとう)
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)
上記の漢方を長期服用されている患者さんから、便潜血陽性や腹痛、下痢や便秘、腹部膨満感を繰り返すと相談があった時は、直ぐに処方医に報告を行う必要があります。