成島店薬剤師のTです
勉強会の資料を作っているときにふと見つけた記事
インスリンと言えば注射。学生のころからの常識でした・・・・
しかし、吸入式インスリン製剤がアメリカで発売となったようです。
インスリンを吸入でなんてすごい!
資料は後回しにして(皆さんごめんなさい!)色々調べてみました。
実は同様の吸入式インスリン製剤は既に発売していましたが、
現在は市場から撤退しているとのこと。
まず以前の商品が定着しなかった理由として、
吸入容器の全長が約30㎝と携行に不便すぎることがありました。
未使用時に畳んで小さくしても16㎝はあったようです。
さらに、安全性・値段・処方前検査が大変なこともあったそうです。
投与開始前後に肺機能検査を必ず行う必要がありました。
喘息やCOPD、肺気腫など、肺に何らかの基礎疾患がある患者への使用は勧められないことや、
喫煙者や禁煙後6カ月未満の患者さんは禁忌のため肺に何かしら問題のある方は事実上処方が不可能でした。
また吸入でインスリンの生体利用率は皮下注射に比べ大幅に少ないため、
皮下注射で投与するインスリン量より多い量を投与する必要がある。
安定性への懸念もさることながら、薬価もかなり高くなると・・・・
加えて長期使用での安全性はどうなんだろうといったこともあり、
時代が追い付いていなかったのか、その当時では難しかったようです。
今回発売の吸入器は手のひらサイズとコンパクト。
適応は成人の糖尿病(1型の場合は持効型インスリンとの併用が必須)で、
使われているインスリンはヒト型インスリン。
作用発現が早いので、食事の開始時に吸入します。
あくまで食後の追加インスリン分泌を補充する目的で使うことを想定しており、
持効型インスリンの代替とはならないので、
患者さんによっては注射から解放されるということはないようです・・・
使用上の注意として、
喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの慢性の呼吸器疾患がある患者に対しては禁忌です。
肺癌患者へは基本的に投与せず、肺癌の既往のある患者や肺癌のリスクが高い患者には慎重な判断が必要のようです。
また処方前に肺機能検査も必要であるため、
いくらか使用できる患者さんが制限されます。
価格はそこまで安価でなく、
且つ病院での肺の定期検査が追加されるので、
患者さん経済的な負担はやはりインスリンと比べると多くなってしまうようです。
日本に普及されるにはまだ時間がかかるかもしれない商品のようです。